職員の腰痛防止 機械でケア

職員の腰痛防止 機械でケア

職員の腰痛予防 機械でケア

 

 ~持ち上げない介護ひろがる 施設、人手確保へ負担軽く~

 

足腰の弱った高齢者を、人力で持ち上げない介護が広がってきた。立ち上がりや移動を助ける機械を取り入れ、職員の腰痛を防ぐ。人で不足が深刻化する中で「働き方改革」を進め、新たな働き手を呼び込もうとの狙いがある。

 

「これからトイレに行きます。リフトでつり上げますね。」横浜市にある介護大手、生活科学運営(東京・港)の有料老人ホーム「ライフ&シニアハウス港北2」。職員の小沢厚子さんは入居者の山下泰子さん(79)に声掛けして、山下さんの乗る車いすをトイレまで移動。便座の横では大きな機会が待っていた。

機械は「スタンディングリフト」という立ち上がり支援機。幅広のベルトのような用具を山下さんの腰に装着。その後、左右の脇下にある、用具にくっついたひも付きループを支援機のアームの先端2ヶ所のフックにかけてロックした。

山下さんの両手はアームをつかむ。小沢さんのボタンを押すとアームは「ウィーン」とうなり、山下さんを優しく吊り上げた。

 

同ホームは山下さんのトイレの世話を今まで2人でしていた。1人が持ち上げて便座へ。用を足したらまた持ち上げてもう一人がその間にお尻を拭く。持ち上げる側の腰への負担は相当なもの。「4月から機械が入って楽になった」。小沢さんはこう話す。

 

同社の持ち株会社、長谷エシニアホールディングス(東京・港)は今春から、33施設に立ち上がり支援機械と寝たきりの人向けの移動用機械を導入した。「持ち上げる、押す、引く、ねじる」といった作業をできるだけ機械に任せる。介護業界で職業病といわれる腰痛対策だ。

 

「持ち上げない介護」は1990年代後半、オーストラリアの看護団体が提唱した。日本ではオリックス・リビング(東京・港)がいち早く取り組み、首都圏と関西圏の全29施設に導入。「人力だと緊張や恐怖心を持つお年寄りが多い。介護する・される双方にメリットが大きい」

 

2014年4月には一般社団法人全国ノーリフティング推進協会(名古屋市)が設立。各地で研修を開き、機械によるケアの手順を教えている。

厚生労働省によると、全国180万人強の介護職員の8割が腰痛に悩む。人で不足のなか、日々の仕事に追われ病院に行かず放置している職員は多い。

 

東京都内の通所介護(デイサービス)施設で働く男性(32)もその一人。男性は訴える。「腰痛をきっかけにストレスが募りイライラしてくる。ささいなことで同僚と言い争い、それが積み重なり辞めていく人が何人もいた。やりがいを持って入って来るのに残念」

介護施設の人手不足は深刻だ。一方で就労を希望するシングルマザーや定年退職したシニアの中には、介護業界で働いてみようという人は少なくない。機械化を進める事業所の間では、こうした人たちを受け入れるには腰痛を引き起こす恐れのある職場ではダメという危機感がる

 

社会福祉法人合掌苑(東京都町田市)の森一成理事長は「介護施設にとって腰痛は深刻な問題」と指摘。その上で「労働契約法の安全配慮義務を根拠に、労災認定や損害賠償を求めて提訴する職員が今後増えるだろう」

労働契約法は労働者の安全への配慮を義務付ける。事故が想定できるものは全て対応が求められる。危険作業への対策はもちろん、メンタルヘルス対策も安全配慮義務に含まれるといわえている。怠った場合、使用者は損害賠償などを課せられる可能性がある。

 

同法人は安全配慮義務を念頭に、機械を導入したり職員を年1回、整形外科医で検査させたりと相次ぎ対策を打ち出した。風通しの良い労使関係を築くことで、訴訟リスクに備える。

介護業界は人材の流動化が激しい。人材確保のためにも、腰痛対策は欠かせない。

 

 

 

                           日本経済新聞 727日掲載

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