介護職、シニアも戦力

介護職、シニアも戦力

介護職、シニアも戦力

 -無資格でも食事・入浴手伝いで活躍-

グループホームなど介護施設で定年後に働くシニア層が増えている。介護の現場には高齢者の話し相手など様々な仕事があり、資格の有無で業務を分け合うことも可能だ。利用する高齢者の中には認知症を患う人もあり、大事なのは信頼関係を築くコミュニケーション能力。シニアならではの人生経験を生かし、現場を支えている。

神奈川県鎌倉市にあるグループホーム「クロスハート二階堂・鎌倉」。大貫与志郎さん(71)=同県逗子市=は現在週5日、ほぼフルタムで介護スタッフとして働く。「体調はどう?」など入居者にこまめに声をかけたり、食事を作ったりと入居者の日常生活を支持しており、同施設での勤務歴は10年を超える。

大貫さんは60歳の定年まで大手運送会社で勤務。営業を担当し、米国や中国などで10年以上海外赴任を経験した。介護の仕事に携わったことは全くなかった。定年後、嘱託となって時間に余裕が生じたとき、頭に浮かんだのが介護の道だった。

きっかけは義理の母が脳梗塞を患ったこと。妻やきょうだいが介護するのを見て「自分にも何かできないか」と、求人に応募した。施設には認知症の入居者もおり、トイレや入浴の際に移動を拒むこともあるが「懇切に付き添い、こわばった表情が笑顔になる時はやはりうれしい」と話す。

介護施設の勤務には介護の資格が必要だと思われがちだが、資格がなくても働くことができる。大貫さんも特別な資格は持っていないが、食事を口へ運んだり、入浴や衣類の着脱を手伝ったりと活躍できる場面は多い。

「クロスハート」を運営する社会福祉法人「伸こう福祉会」(横浜市)の白国文佳さんは「介護では利用者と心を通わすことが求められる。シニア層は若い人にはないこれまでの人生経験を生かせる」と話す。同福祉会では職員の定年は70歳だが、希望すれば80歳まで働くことができる。

介護現場は人で不足に悩み、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には厚生労働省は介護人材が30万人以上不足すると試算する。現場の業務量も増え、専門資格を持ち本来は施設全体の管理を担う職員が雑用に追われがちになっており未経験のシニア層も戦力となる。

シニア層が介護現場で働くには自治体が高齢者の就労を支援する制度を利用するほか、シルバー人材センターや人材派遣会社に登録するなどの方法がある。施設での勤務を続けるうちに興味が湧けば、旧ホームヘルパー2級に当たる「介護職員初任者研修」や介護サービスの中心となる「介護福祉士」などの資格を取得し、より専門的な業務に携わることもできる。

元東京都職員の村雲雅城さん(80)=横浜市=は65歳を過ぎてから介護施設で勤務し、周囲の勧めで71歳の時に介護計画の作成を担う「ケアマネジャー」の資格を取得。「専門的な知識を身につけることで、施設利用者だけでなく家族との意思疎通もより緊密にでき、日々のケアに生かせるようになった」と話す。現在も週3日勤務しており、「可能な限り働き続けたい」と意欲を見せている。

(村越康二)

60代、介護関連資格が人気~

第二の人生が始まる60代の間で介護関連資格に人気が集まっている。就業目的だけでなく、自身の生活に知識を生かそうとする意識も目立つ。年を取るにつれ、配偶者や親の介護が身近な問題として実感を帯びてくることが背景にあるようだ。

社会人向け通信教育大手のユーキャン(東京・新宿)が2014年に60代の男女約500人に実施した調査によると、最も多かった取得資格は訪問介護などができる「介護ヘルパー(現・介護職員初任者研修)」で全体の11.9%に上った。

男女別に見ると、女性は介護ヘルパー(25.6%)、介護業務の中心を担う「介護福祉士」(9.3%)、介護計画を作成する「ケアマネジャー」(7.0%)と上位3つがいずれも介護関連資格だった。男性でも「介護ヘルパー」(9.0%)は2位だった。

介護ヘルパーの資格を取った理由では、「暮らしの中で役立てるため」(37.3%)が一番目立つ。ユーキャンの担当者は「介護業界での需要に加え、配偶者や身近な親族の介護が必要になったとき知識があれば私生活に活用できる点でニーズがあるのでは」と話している。

         7/26付 日本経済新聞より

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