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外国人の訪問介護 拡大へ ~厚生省 特定技能などに容認 議論~

2023.07.28更新

外国人の訪問介護 拡大へ

 ~厚生省 特定技能などに容認 議論~

 

深刻な人手不足の解消に向け、訪問介護の現場で働ける外国人労働者を増やす議論が始まった。現在は認められていない「特定議論」などの在留資格を持つ外国人が、一定の条件のもとで働けるようにすることを視野に入れる。利用者との意思疎通や、十分なサービスを提供できるかなど論点は多い。

 

~語学力・質確保が論点~

 

厚生労働省が24日に有識者でつくる検討会の初会合を開いた。年内に要件緩和の可否や緩和の具体的な内容をまとめる。

 

外国人介護人材には、経済連携協定(EPA)、「介護」の在留資格、技能実習、特定技能の4つの制度に基づく資格がある。このうち、一部のEPAと介護の在留資格は、国家資格の「介護福祉士」取得が条件のため、訪問介護に従事できる。

 

検討会では、特定技能や技能実習の在留資格を持つ外国人が訪問介護に関われるようにすることを軸に議論する。

 

現在はこうした資格を持つ外国人は介護施設では働けるが、自宅で入浴や食事の介助をする訪問サービスは認められていない。訪問系サービスは利用者と介護者の1対1が原則で、言葉や文化への理解など適切な対応が難しいとの懸念があるためだ。

 

技能実習は賃金の不払いや実習生の失踪などの問題が相次ぎ、事実上廃止される。足元で議論が進む代替制度で訪問介護を対象にすることを検討する。

 

出席した日本医師会常任理事の江沢和彦委員は「利用者の声も重要になる」と指摘する。「介護福祉士」の資格を持つ外国人は高い日本語能力を持つ一方、日本語を十分に話せない外国人をどう関与させるかの問題がある。

 

会合では別の委員から「1対1にならない業務は認めるなど段階的な緩和を進めてはどうか」などの声が出た。介護福祉士の資格がなくても携われるようにする案もあり、その際の条件を含めて今後詳細を詰める。

 

人手不足に悩む現場からは、要件の緩和を求める声が強い。足元で訪問介護ができる外国人はざっと7000人強。厚労省によると、訪問介護職の有効求人倍率(2022年度)は15.5倍にのぼる。

 

21年度の介護労働実態調査では「訪問介護員が不足している」と答えた事業所が80.6%にのぼった。技能実習と特定技能を合わせた外国人は3万人強で、訪問介護に従事できるようになれば多くの人材を確保できるとの狙いがある。

 

訪問介護事業を手掛けるソラストは、日本語による意思疎通や洗濯の仕方、食器類の使い方など日本の習慣を学ぶ必要があるため「すぐに現場に入ることは難しいが、長期的に人手不足に寄与すると期待している」とする。

 

もっともこの要件緩和が実現したとしても、人手不足を完全に解消するにはほど遠い。21年の厚労省の調査では、訪問介護員の総数は約51万人。高齢化の進展に伴い、40年度には約280万人の介護議員が必要となり、約69万人の人材が不足すると懸念されている。

 

東洋大の高野龍昭教授は訪問サービスの要件緩和は必要な議論とした上で「訪問介護の外国人材の緩和だけでは、人手不足を補うには微々たる数にしかならない」と話す。

 

さらに介護分野の給与水準の低さが外国人材を確保しにくい状況をつくりだして面もある。中国や韓国などでも高齢化が進み、介護や看護人材の需要は急増している。より良い待遇で東南アジアの人材を奪い合う状況になりつつある。

 

高野教授は「介護の質の低下を招かないように、外国人の介護人材が現場で活躍できる仕組みづくりが必要だ」と主張する。

      日本経済新聞より