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「介護士賃金 公表要請」 ー厚労省、事業者に処遇改善狙うー

2023.10.04更新

介護士の賃金 公表要請

 ~厚労省、事業者に処遇改善狙う

 

厚生労働省は介護事業者に、勤務する介護士など職員1人当たりの賃金データの公表を求める。介護分野の求職者が事業者ごとのデータを比較できるようにすることで、人手不足が深刻な介護士の処遇改善や就職後の人材定着につなげる。2024年度からの導入を目指す。

 

介護職員の給与は全産業平均より低い水準にとどまる。22年の賃金構造基本統計調査によると、施設に勤める介護職員の所定内給与は24万2200円。全産業平均の31万1800円と比べ7万円近い開きがある。待遇の低さは介護現場の人手不足も招く。有効求人倍率は産業界の平均に比べ高く22年度の施設職員の求人倍率は3.79倍だった。

 

厚労省は既存のサービス利用者向けの情報公表制度の対象を拡充し、介護人材の確保と定着を図る。介護事業者には事業所の運営方針やサービス内容、利用料などを公開する義務がある。この情報公開の対象に職員の1人当たり賃金も加える。

 

厚労省は当面は、強制力を伴わずに賃金情報の公開を求める方針だ。拘束力はないものの、データを明らかにする施設ほど人材が集まると期待する。情報公開の透明性や、従業員の賃上げの実績などは、介護サービスの利用者が施設を選ぶ際にも判断材料になる。厚労省は緩やかな要請でも、介護業界全体での処遇改善を促せるとみる。

 

介護事業者に財務状況の自治体への報告も義務づける。24年度から導入する。集めた情報はデータベースに集約して分析し、処遇改善へ向けた政府の支援策や3年に1度の介護報酬の検討などに活用する。

 

介護労働安定センター(東京)によると13年度に17.7%だった介護職員の離職率は22年度は14.9%に下がった。全産業平均15.0%(22年)とほぼ並んでいる。賃金データの公表でさらに離職率の抑制を図る。

 

政府は22年、介護職員の収入を月額平均9000円相当(3%程度)引きあげるため、介護報酬の上乗せを行った。厚労省によると、介護施設や事業所のうち9割がこの賃金底上げのための加算金を受け取り、常勤の介護職員の22年12月の月平均給与は前年同月に比べ、5.8%増えた。一方で小規模事業所では賃上げが十分に行き届いていないという指摘もあった。

 

     日経新聞より 2023年10月4日